7〜8月は多くの高校・大学サッカー部においてスポーツ推薦の選考会が開催される時期です。
各校では、主に以下の3パターンのいずれかによって、新年度の選手スカウトが行なわれています。
① 公開セレクション・練習会
② 非公開セレクション・練習会
③ 非公開スカウト
一般的には、各校サッカー部などのお知らせから、①の公開選考会情報を取得し、各自でエントリーし練習参加していく形態です。
しかしながら、全国クラスの強豪校やプロサッカークラブに近付くほど、②〜③の非公開セレクション・スカウトによって完結するケースが増えていくのが実態です。
非公開で進む理由とは?
では、なぜ強豪校であるほど非公開で行われやすくなるのか?
理由は主に3つあると考えられます。
1. 選考活動に労力を避けない
強豪高校サッカー部の多くが学校教員としての職務と並行している場合も多く、部活動の運営と並行して選考活動に労力を割けないという現実があります。
2. “セレクション”を実施できない
教育機関としての立場や体裁上、”セレクション”という表現そのものがNGというケースもあります。正しいプロセスとして、”受験”という位置付けで練習会を行うケースが一般的であり、受験であるからこそ学校成績も合否条件に関わってくるわけです。※この辺りは詳細を説明すると長くなるので割愛。
3. 監督同士の関係性(推薦選手紹介)で完結してしまう
サッカー界の進路形成の大きな要因の一つに”サッカー界の人脈・信頼関係による繋がり” という強い関係性があります。
別の表現では「あの監督が推薦する選手であれば間違いない」や「あの監督は自分好みの選手を育てやすい」という信頼関係が築かれているケースがあります。
また、信頼関係が深まっている仲であるからこそ、上記の「学業成績」や「人間性・素行」なども考慮した推薦選手が紹介され、選考側の監督からすれば自分で様々な要素を調査する労力を省けるわけです。
これはJリーグクラブにおいても同じで、言い換えれば「監督同士のサッカー観や社会性の一致」という影響力により、効率的に非公開で完結させてしまうケースも必然的に生まれてくるわけです。
逆に言えば、監督同士の信頼関係(推薦選手)のリストに載らない限り、強豪校へのスポーツ推薦ルートが断たれてしまうケースも多いということです。
合同セレクションを開催する理由
2023年度から早稲田ユナイテッドでは高校・Jユース向けの合同セレクションを試験的にスタートさせました(第一回目は2023年6月17日に開催)。
この合同セレクションでは、非公開スカウトを行なっている学校だけでなく、強豪であっても地方であるが故に関東・関西圏の選手にアプローチする労力を割けない高校・Jリーグ下部組織など、様々な団体が集い選手選考に目を光らせます。
スカウト招待基準も原則は「全国高校サッカー選手権出場校」もしくは「Jリーグ下部組織」としています。
ここから埋もれた才能の発掘へ
同時に、選手達においては、全国クラスの様々な目で評価してもらえる機会を得ることが出来ます。
そこで下される厳しい現実を知るのか?
それとも、自分の新たな可能性に気付かされるのか?
様々なドラマがきっと待っていることでしょう。
ぜひ、自分達を成長に導くベストな進路を、自分のプレーで掴み取って頂ければと思います。