2017年頃からJリーグクラブ強化(スカウト・戦略的データ分析など)に携わり始め、今年で7年目を迎えている。
2017年頃に比べてJ3リーグのレベルもかなり高まり、当時はJリーグ下部組織の育成としても使われていたリーグが、2023年から降格規定も生まれて弱肉強食のサバイバル環境へと変貌した。
それに伴い、スカウト基準も変化していき、選手達に語りかける言葉も変化している気がする。
今も変わらない選手達の人生観
一方で、今も昔も変わらない選手達の2つの対照的な人生観(サッカー観)がある。
これまでに何千人という選手達と会話をしてきたが、基本的にはこの2つだ。
1つは、
「◯◯のクラブ・◯◯リーグに所属をしてみたいという感覚」
もう1つは、
「強者に勝ちたい・倒したい・負ける気がしないという感覚」
だいたいこの2つの人生観のどちら寄りかで選手達の将来性も予測することができる。
これは高校・大学サッカーでトップを目指そうとしている世代の選手にも同じことが言える。
プロの世界で生き抜くには
おそらく、前者は目標のクラブに所属するだけで、ある種の安心感を抱き、そのまま競争の波に飲み込まれ、自然淘汰されていくのだろう。(そもそも、そのような選手を昇格争い真っ只中のプロの世界へ連れていこうとは到底思えないが…)
一方で、「勝ち続けること」に人生観の重きを置く後者は、常に「勝てない時の不安」が自分を動かすエネルギーになる。
それに対して、前者は「負けている自分を放置する」という状態にも陥りやすい。
プロの世界を生き抜くことにおいて、どちらの人生観がクラブの勝利と自らの成長に寄与するのかは明白だ。
我々スカウトは、選手やコーチ・スタッフに安心感を与えるためにグランドへ足を運ぶわけではない。
チームを勝たせる選手
今年も様々な選手達と話をする機会があるが、自分を中心に語る選手は多い。
「Jリーガーになりたい」「少しでも上のリーグでプレーしたい」など。
例えば、「Jリーガー」になりたいのなら、Jリーグ昇格を狙うJFLクラブを自力で勝たせることもできる。
チームに昇格させてもらうのではなく、自分のチカラでチームを昇格させるという感覚だ。
チームを勝たせられる自信が無いなら、まずは「自分に何が足りないのか?」という本質。
まず初めに向き合うべきはそこからだし、そこに全ての答えがあると感じる。
所属しようとするな。
チームを勝たせる人間となれ。
今年もきっと、多くの選手達に同じことを伝えることになるのだろう。