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【ブログ】 小さいころから自分の頭で考える習慣を
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将来に悲観的な日本の若者

「若者は楽観的で希望に満ちている」という一般常識。先日、これとは逆の記事を見かけました。

『「将来に希望」日本最低=7カ国の若者比較―内閣府調査』(時事通信 6月3日配信より)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140603-00000021-jij-pol

政府は3日午前の閣議で、2014年版「子ども・若者白書」を決定した。白書は特集として、世界7カ国の若者の意識調査を実施。「自分の将来に明るい希望を持っているか」と尋ねたところ、「希望がある」「どちらかと言えば希望がある」と答えた人が日本は61.6%にとどまり7カ国中最低で、他の6カ国(82.4~91.1%)を大幅に下回った。調査は2013年11~12月に日米韓と、英国、ドイツ、フランス、スウェーデンの計7カ国で実施。各国で13~29歳の男女約1000人を対象にインターネットで行った。「40歳になったときに幸せになっている」と答えた人は日本が66.2%で最下位で、他の6カ国は81.6~87.4%だった。「自分自身に満足している」「自分には長所がある」と答えた割合も、日本は7カ国中最低。自分に自信が持てず、将来についても悲観的な日本の若者像が浮き彫りとなった。

―以上抜粋―

これ、本当でしょうか?若者というかまだ未成年の中学生や高校生も含んでの結果です。自分の将来に対するイメージは、自国の今や将来の環境に対するイメージに強く影響されるので、仮にこの結果が実態だとすれば、かなり早い段階から「自分の国は不安だ。ダメだ」と思ってる若者率が他国と比べて高いということになります。日本だけのアンケート結果ならまだしも、「他国と比較して」最低という結果はどうも腑に落ちません。

なぜなら、日本は他国と比較したら実はとても「良い国」だからです。

「良い国」の基準は人それぞれでしょうが、やはり「平和と安全」、「寿命(どれくらい生きていられるか)」、「経済的な豊かさ」は外せないということで、この3つについて記事の7カ国がどうなってるか調べてみました。

 

平和で豊かで長生きできる国=日本

7ヵ国比較

(図:※1,2,3のソースからWISEが独自に作成)

たて軸は平和度で、上に上がれば上がるほど(数字が小さくなればなるほど)平和で安全ということです。内戦やテロの有無やリスク、国連の介入度など計24項目から数値化されています。よこ軸は平均寿命。円の大きさは、その国で1年間に生み出される付加価値=稼ぎ出す所得の名目値です。

ご覧のとおり日本は7カ国中最も理想的なポジションにいます。確かに自然災害が多かったり、その他大なり小なり探せばマイナス要素もあるでしょうがあくまで最重要の3つをとった場合です。因みに、72カ国に広げてみるとより一層日本が「平和で、豊かで、長生きできる」恵まれた国であることが分かります。

72ヵ国比較

(図:※1,2,3のソースからWISEが独自に作成)

こんな世界トップクラスの良い環境に生まれ、生活しているのにもかかわらず、どうして自分に自信が持てず、将来についても悲観的な若者が「比較的に」多いのでしょうか?普通なら、もっと自信をもった前向きな若者が他国より多くていいはずです。

これは何か間違った思い込みや過度なマイナスイメージを刷り込まれ、何より、それに対する抵抗力を失っているとしか思えません。

 

根本は、考える習慣をつけること

批判的なメディアの影響が大きいのでしょうが、それに洗脳されない抵抗力をつけるという面では教育にも問題があると思います。

なかでもとくに問題だと思うのが、暗記中心の教育です。「暗記して、テストして、ハイ次!」という機械的なやり方は、子どもから自分の頭で考える余裕や習慣を奪ってしまうからです。結果、与えられた情報をそのまま鵜呑みにする傾向、あるいは無関心が助長されてしまいます。

たとえば、テレビから「少子高齢化で先が危うい!」「日本は借金大国で破綻だ!」「むかし戦争で悪いことをした!」といった悲観的で自虐的な情報が流れてきたり、大人がそう言うのを耳にすると、その通り「素直に」受け取ってしまいます。ここに、「なんで?」「本当?」「証拠は?」などという自分の頭で考える一歩目の作業が入らなくなってしまうわけです。

大人の言うことが全部正しいなんてことは絶対にありません。なので、自分の頭で考えるという抵抗力をもっていないと、外部の環境に踊らされ、染まり、損をします。「自信が持てず、将来についても悲観的な日本の若者が他国と比較して多い」というアンケート結果の根っこは、子どものころから暗記中心の勉強に慣れ、「自分の頭で考えない力」を身につけてしまったことにあるのではないでしょうか。

これは「○○が悪い」と誰かや何かのせいにするだけではいつまでたっても解決しません。子どもたち一人ひとりが「自分の頭で考えるクセ」を普段からつけていくこと、そして大人たち一人ひとりがそれを促していくこと、この2つが根本的な改善方法だと強く感じます。良い情報も悪い情報もそれを鵜呑みにせず、「なぜ?」「なに?」「本当?」とツッコミを入れ、大人にしつこく聞いて、自分で考え、調べ、また考えるという習慣をつける。それを積み重ねていけば、事実に気づき、先のようなアンケートも前向きな結果に変わってくるはずです。

まだ10代、20代の若い人が、空気やイメージに流され、思い込みや勘違いから「自信がない。将来が不安でたまらない」という気持ちに染まってしまうことこそ心配です。子どもたちが丸暗記はほどほどに、「自分の頭で考える」ほうに時間を割くこと。そして、そういう環境を大人が作っていくこと。こういう個人レベルの地味な行動の積み重ねが、日本の若者の意識を前向きに変えていくのだと思います。

 


facebookWVS通信ロゴ阿部智行 1980年生、早稲田大学大学院理工学研究科修了。米資本製薬会社勤務後独立。株式会社早稲田ユナイテッドと協力し、中高生向けの学習塾WVSを設立、現WVS代表。

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