他の動物を見ることはヒトの身体や動きのことを考える上で非常に大切なことです。今回は食性による走りの違いを見ていきます。
食性と腸
動物は大きく分けると肉食と草食に分けられますが、肉を食べるか草を食べるかで消化管つまり腸の長さが違ってきます。
消化の良い肉を食べる肉食動物は腸が短く、消化の悪い草を食べる草食動物は腸が短いです。この事実は走るという運動にとても関係しています。
草食動物
ここではウマを見ていきます。
草食動物であるウマは腸が長いつくりになっています。そうなるとどんなことが起きるのかというと、体幹部を動かすのが難しくなります。
後述するチーターは体幹部を大きく動かしてとても速く走りますが、それができない馬は足先の軽量化という戦略を取ります。推進力を生み出す股関節周りの筋は発達させ、つま先に向かうほど細くなるようにしました。
肉食動物もこの戦略を取っていますが、ウマは気合いの入り方が違います。骨レベルで指をどんどん減らしたのです。その結果現在のウマは中指のみで立っています。
ここまで思い切ったことをできたのは草食動物ならではです。肉食動物の場合は前足で獲物を捕獲する必要があるため、ここまでの戦略が取れないのです。
また、体幹部があまり使えない身体では速く走ることはできませんが、長く走ることができるようになりました。これも草食動物の特徴です。
肉食動物
ここではチーターを見ていきましょう。
腸の短いチーターの走りの特徴は脊柱をムチのように使った走りです。
ウマのように長い腸がお腹の中に入っていては、このように体幹部を大きく動かす走りはできません。
腸が短いことで体幹部が良く動き、速く走れるというのが肉食動物であるチーターの特徴です。
特にネコ科の動物はこの傾向が強いですね。
それとウマと同じように足先の軽量化という戦略も取っていますが、獲物を捕獲する際に前足を使う必要があるので極めることはできませんでした。
また、体幹部をよく動かすことでエネルギー効率がどうしても悪くなってしまいます。そのため長く走ることが出来ないのでその分速く走れるように進化しています。
このようにヒト意外の走りもたまには参考にしてみてはいかがでしょうか。