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アスリートが文武両道を意識するべき3つの理由 〜早稲田ユナイテッドが向き合っている現実〜
岩崎 勇一郎

 

今回は自分の経験から「文武両道の影響力」について。

なぜトップアスリートを目指す選手達が文武両道を意識すべきか?

実体験から3つの理由をあげてみよう。

 

(1)プロになれたとしても成功するのはほんの一握り

「引退後に自分に何が残っているのか?」…を想像する力も、それを想像させる環境作りも重要になる。

アスリート達が個人の能力で打開できるのが理想的だが、そこまで引退後の社会はアスリート達に甘くはないのが現実だ。(もちろん現役の選手であっても)

最近では海外の有名クラブも身近に感じられるようになり、「頑張れば夢は叶う」と綺麗な言葉を子供達にかけてあげたくなる気持ちもあるが(※自分は現在U-12カテゴリーを指導中の現役コーチ)、「頭を使って頑張り続けていれば夢が叶う可能性が少しずつ高まる」という現実きちんと子供達に伝えていきたい。

幸い早稲田ユナイテッドには元プロ選手やそのギリギリ一歩手前の選手達が多く集まってくることもあり、その選手達の「セカンドキャリア」をこの目でじっくり分析することができている。

プロ引退後のセカンドキャリアの難しさ

結論として、現役プロ選手としての成功も険しい道であるが、さらに難しいのが「引退後のセカンドキャリアの成功」であると自分は認識している。

だからこそ、それまでに最低限身に付けておくべき「スキル」や「資格」は確実にある。

ただし、その事実を知ったところで、多くのJリーガーが「サッカー以外の自分磨き」になかなか時間を割こうとしない理由やメカニズムもよく分かる。

この辺は実際にプロ選手達と一緒にいる時間がないと、なかなかその本質を知ることは難しい。良くも悪くも、プロのトップアスリートが集まる世界には特有の世界観がある。

「トップアスリートの理想的なセカンドキャリア」については、早稲田ユナイテッドでも今後は環境整備を進めていくつもりだが、その仕組みは話すと長くなるので今回は割愛…

 

(2)プロを目指すアマチュア社会人選手が良い練習環境・仕事環境を作るためには、サッカー以外のスキルや資格が必要

今、まさに早稲田ユナイテッドがクラブとして立っている場所がここ。我々は個人としても組織としても、今はプロを目指す「アマチュア社会人クラブ」に過ぎない。 ※2015年度は関東サッカー2部リーグ所属

プロではないので「サッカーだけ」に時間を費やしている場合ではない。

海外挑戦者なら英会話を学ばなくてはいけないし、社会人なら仕事や家庭(妻や子供達)に納得してもらえるだけのアウトプットを出していかなければいけない。学生なら学業やキャリアプランニングも疎かにはできない。一歩でもプロに近付くためにも、自分磨き(サッカー以外のスキルアップも)を怠っている場合ではない。

「サッカー環境作り」という観点では、様々な企業とコミュニケーションをとる中で、アマチュアアスリートが成長するための「理想的な環境」の創り方は分かったが、そのためにはアスリート達が特殊な「スキル」や「資格」、「工夫する力」を高校・大学卒業までに身に付けておく必要があると実感している。

自分を磨き続けた文武アスリートは自由を得る

逆に言えば、文武両道で自分磨きを怠らなかったアスリート達は「自分の理想的な環境」を作れる可能性が非常に高い。彼らは、好きな時間に働けて、好きな時間に練習が出来るようになるはずだ。

要するに、プロになった後だけでなく、プロに近付くためのステージでも「文武両道」が生み出す影響力は非常に大きいし、そういった選手達にしか作れない「理想的な環境」があることも、早稲田ユナイテッドの現場マネジメントを通じて知ることができた。

ただ、育成年代の多くのサッカー指導者・保護者がこの現実を目の当たりにしたことがあるわけもなく、小学生〜高校生年代の選手達にこのリアリティー(社会人になってからの文武両道の影響力)に感情を込めて伝えていくことは正直難しい気がする。

 

(3)高校・大学への「進学の可能性」と「進学の選択肢」が普通の学生に比べて2〜3倍広がる

ここからは小学生〜高校生のサッカー選手への「文武両道」の影響力について。

そもそも、上記(1)〜(2)の理由で、サッカー以外の「勉強」や「自分磨き」の時間を割くことが大前提であるのだけれど、高校〜大学においては、勉強を一生懸命頑張ることが「進学の可能性・選択肢」を広めてくれるということを選手達には知っておいてもらいたい。

学校ごとにそれぞれ合格基準・出願時期などが異なるため、一括りには説明できないのだけれど、大学進学なら高校1年時、高校進学なら中学1年時には遅くとも知っておいた方が良い「スポーツ選手だけが活用できる特殊な進学ルート・セレクション」がある。

両方あることの価値

勉強もサッカーも両方とも頭を使って努力している選手は、その両方の恩恵(特殊な進学ルートを選べる権利)を受けることになり、正直、普通に受験して進学する学生達からすれば、こんな進学ルートがあるなど想像すらできないはずだ。

このルートを通して早い時期に進学が決まれば「自分磨き」にもより多くの時間を費やすことが出来るようになるということが最大のメリットだと思う。意識の高い選手ほどその時間を有効に活用できるはずだ。

最近では、いくつかのクラブチーム・高校サッカー部でも「文武両道アスリートの獲得」による当該組織への影響力に気付き始めているため、早稲田ユナイテッドではそういったクラブチームに「早稲田が認める文武両道アスリート」を自信を持って紹介することにしている。

それは、そのクラブチームが、選手達の進路・進学の問題を真剣に考えはじめているからだという事実に他ならない。そういったクラブがいるのなら、早稲田ユナイテッドとしても真剣に選手達の進路をサポートしていこうと思う。

 

文武両道は早稲田としての最低条件

自分も二児の親であるため、子供の育て方を意識するが、少なくともスポーツで高いレベルを目指す子になりそうなら「文武両道」は、上記の(1)〜(3)の理由から絶対に外さないし、早稲田ユナイテッドの育成では「文武両道」が最低条件だと思っている。

子供が自発的に勉強するようになる」という仕掛けの作り方も、親の環境作り次第ということが、自分の育児経験を通じてよく理解できた。

だからこそ、この経験を育成年代の子供達に少しでも還元していきたい。

サッカー選手の進路サポートも含め、早稲田ユナイテッドはこれからも文武両道を追求していきます。

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