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【ブログ】 「考える力を鍛える本」が売れる背景に
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どうして、大人になってからなんだ?

ここ数年本屋に行くと「論理思考を磨こう」とか「問題解決はこうやって考える」とか、そういった類の本が異常に増えてきていることに気づきます。いわゆる「考える力を鍛える本」です。昔はこんなにも平積みになってはいなかったのに…。

Amazon.co.jpで「考える力」をキーワードにして検索をかけてみると約6,900件、「問題解決」で検索すると約4,500件、「論理思考」で絞ってみても約1,400件ヒットします。実は2年前にも同じことをふと思い、検索してみたことがあったのですが、その時は「考える力」で約4,000件、「論理思考」で1,000件弱でしたので、数字的にも感覚的にも増加傾向にあることは明らかです。

本の中身は、大体が「考える力の大切さ」から始まり、「考える力とは何か」「論理思考とは何か」など定番のフレームワークの説明があり、ケーススタディの紹介、最後に「21世紀は答えなき時代だから考える力をつけていきましょう」と締めくくるパターンです。(21世紀だけではなくいつの世紀もそうだと思うが)これまで何冊か実際に手にとって読んでみたのですが、正直どの本も共感できるところが多く、よくできてるなーと感心します。

ただ、これらの本の9割が「大人向け」なんですね。当たり前だと思いがちですが、私は大いに疑問です。「なんで、論理思考とか問題解決といった考える力は『大人になってから』なんだ?」と。

 

子どもの頃から、もっと「考える力」を鍛えることが大切

「考える力を鍛える本が、大人向けに、こんなにも需要があり売れている」という事実は、つまり「考える力を、子どもの頃から訓練してこなかった」ということの裏返しだと感じます。しかも、その理由は単純に「受験勉強で忙しく、時間が取れなかった」や「そもそもそういうことを学ぶ環境がなかった」といったことでしょう。学校教育は、実社会に出て自立し、それぞれの夢や志をもって生きていくための準備・培養期間という大元に立ち返れば本末転倒です。

下の図は、個人個人が自分を磨いていくために必要な要素を分類整理したものです。

4層がいわゆる勉強です。今大人向けにヒットしている考える力を鍛える系の本は、4層真ん中のピンクの部分(実用的な思考力)を鍛えたいニーズに応えるためのものです。先に書いたように、大人になる前にこの部分を放置し4層真ん中の灰色の部分や4層左の灰色の部分に偏った勉強をしていたことの裏返しと思います。これら灰色の部分を否定するのではなく、バランスの問題を感じています。

目的の層を見てください。将来死ぬまで「紙相手の正解がたった一つだけしかない問題を相手に、テストの点数を取るために生きていく人間」は一人もいません。実際の世の中で、自分自身の夢ややりがい、志や生きがいを見つけ、それに向かって一歩ずつでも前に進んでいくことが多くの人にとって理想なんではないでしょうか。とすると、子どもや学生のうちから4層の3つ(知識、思考力、行動力)のバランス、さらにはそれぞれ灰色とピンクのバランスが取れた勉強をしていくべきだと思います。

一つ極端ですがマズい例を挙げると、社会に出るまでずーっと4層左の灰色の部分だけを勉強だと思い込み、ここに偏って勉強をしていると(=テストで点を取るための知識をひたすら詰め込む、暗記することの繰り返しの勉強)、その学生には実社会に出た後こんな症状が現れるのではないでしょうか。

「人が絡む問題に直面すると、本能的に逃げる・避ける」(単純に、慣れてない)

「すぐに答えを知りたがり、しかもそれを鵜呑みにする」(自分の頭で考え、疑問をもつことに慣れてない)

「習ってないから分かりませんと言う大人になる」(学校ではこれで通った)

誰しもこうなりいとは思ってない、だけどこうなるかもしれないとも思わない。これは子どもの責任ではありません。バランスが取れた勉強をさせる環境を整えていない我々大人の責任です。

こりゃヤバいな、考える力を鍛えなきゃ!と思っている大人が増えており、それが「考える力を鍛える本の大量生産」という形でリアルに現れている。けれど、こういう現象は「子ども時代に考える力に本腰を入れてこなかった証拠」と思えるわけです。

日本の教育はもっと全体のバランスを見て、必要な勉強の中身と割合を考えなければなりません。今のままじゃアンバランス過ぎます。

 


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facebookWVS通信ロゴ阿部智行 1980年生、早稲田大学大学院理工学研究科修了。米資本製薬会社勤務後独立。株式会社早稲田ユナイテッドと協力し、中高生向けの学習塾WVSを設立、現代表。